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会社が事業を拡大していく上で資本の調達は欠かせません。資金調達源は、企業内で調達する内部資金と企業外から調達する外部資金に分けることができます。外部資金の調達の方法としては、直接に市場から資金を集める新株発行や社債の発行があります。
株式会社が、会社成立後に資金調達等のために新たに株式を発行することを新株発行といいます。新株発行を行った場合、その旨の登記を行わなければなりません。
株主の会社に対する権利は、すべて平等です。つまり、各株式の内容は原則として同一で、その有する株式数に応じて、すべて平等に取り扱わなければなりません。これを株主平等原則と呼びます(会社法109条)。
しかし、株主によって株式会社に対して求めるものは異なります。そのような株主のニーズに対応するために、さまざまな内容の株式を発行する必要があり、株主平等原則の例外として内容が異なる株式を発行できる種類株式の制度が設けられています。
1種類の株式のみを発行する会社を単一株式発行会社というのに対して、2つ以上の内容の異なる種類株式を発行する会社のことを種類株式発行会社といいます。具体的には以下の9つの種類株式はあります。
実務上活用されている種類株式には以下のようなものがあります。
剰余金の配当や残余財産の分配について標準的な地位をもつ様式です。
種類株式に与えられる特性のうちの1と2の特性を持った株式です。剰余金や配当を他の株主よりも優先して受け取れる権利を与えられていますが、議決権に制限を加える場合が多いようです。
剰余金や配当を受け取る権利が他の株主に比べて劣る株式です。
前述した1から9の特性のうち、ある特性に関してだけ他の株主よりも優位な権利を持ち、それ以外の権利に関しては劣る権利しか持たない株式です。
議決権の全部を制限する株式を発行することも、議決権の一部を制限する株式を発行することも可能です。公開会社の場合は議決権制限株式の発行は、発行済み株式数の2分の1までに制限されていますが、非公開会社ではこのような制限はありません。
株式は本来自由に譲渡できるのが原則ですが、株式を譲渡するために株式会社の承認を要件とする株式のことです。
会社法では取得による株主への対価として他の種類株式や現金の他、社債など有価証券を幅広く認めています。
前述した6の特性を持ちます。あらかじめ決められている一定の条件(取得条項)が発生した場合に、会社は株主から強制的にその株を買い取ることができます。
前述した7の特性を持ちます。会社が事業の再生などで100%減資をしなければならなくなったような場合に、株主総会の決議だけで減資できるというメリットが会社側にはあります。
拒否権付株式とは、あらかじめ定款で定めた事項について、拒否権を持つ種類株式のことです。前述した8の特性を持つ株式の典型です。その事項については、他の株主が賛成していたとしても、拒否権付株式をもつ株主の賛成が得られなければ決議が成立しないため、企業買収の阻止などのために利用されます。
前述した9の特性を持ちます。役員選任権をつけた種類株式については、指名委員会等設置会社と公開会社でが発行を認められていません。
募集株式の発行の方法には、①既存株主の保有株式数に応じた割合で募集株式の割当てを受ける権利を与える「株主割当による方法」と、②特定の第三者に募集株式を割当てる「第三者割当てによる方法」、③一般投資家から募集株式の引受けを募集する「公募発行」の3種類があります。なお、特定の株主についてのみ募集株式の割当てを受ける権利を与える場合は、②の第三者割当に該当します。
また、公開会社か非公開会社によって、新株発行の手続きが異なります。
会社が募集株式を発行しようとする場合には、募集株式の数や、株式の払込金額、出資の履行方法など、募集事項を決定しなければなりません。公開会社では、原則として取締役会の決議で第三者割当の新株発行を行うことができます。もっとも、第三者に対して、払込金額が株式の時価に比べて大幅に低下額で売却されるなど特に有利な金額で新株を発行する場合には、株主総会の特別決議が必要です。
第三者割当の場合、取締役会決議において、Ⅰ.発行する株式の数、Ⅱ.1株あたりの払込金額、Ⅲ.金銭以外の財産を出資する場合の財産の内容・価値、Ⅳ.金銭の払込みや財産の給付を行う期日・期間、Ⅴ.増加する資本金及び資本準備金に関する事項についての決定をします(会社法199条)。
また、第三者割当は、既存株主の議決権割合を低下させることから、新株発行の差止請求権を行使する機会が与えられるため、払込期日・期間の初日の2週間前までに株主に対し、新株発行の内容を個別に通知又は公告する必要があります。
新株発行の手続きの流れ(公開会社)
株式が譲渡制限されている非公開会社では、他の者が新たに株主として参入することにもともと消極的だといえます。
そこで、募集事項の決定について有利発行の場合ではなくても株主総会の特別決議が必要とされています。ただし、募集株式の上限と払込金額の下限を株主総会の特別決議によって定めるなど一定の要件を満たす場合、その他の募集事項については取締役(会)に委任することが認められています。
新株発行の手続きの流れ(非公開会社)
公開会社の場合、募集株式の発行内容は取締役会で決定することができます。株主総会決議を通さなくてもすむため、機動的に資金を調達することができます。
ただし、平成27年5月施行の会社法改正により、一定の場合には株主総会決議が必要になるケースが定められました。具体的には、募集株式の発行によって引受人が議決権の過半数を持つに至る場合(支配株主の異動が生じる場合)で、総株主の議決権の10分の1以上を持つ株主が支配株主の異動を伴う株式の発行に反対の意向を会社に対して示した場合には、株主総会の普通決議による承認を得なければなりません。
募集事項が決定すれば、株主又は株式を引き受けようとする者に募集事項を通知します。通知を受けた株主又は当該第三者は、会社に対し、①氏名(名称)及び住所と、②引き受けようとする募集株式の数を記載した募集株式申込証を交付します。
交付を受けた会社は、申込者の中から募集株式を割り当てる者及び割り当てる募集株式の数を決定します。この決定は、募集株式が譲渡制限株式である場合には、株主総会の特別決議(取締役会設置会社であれば取締役会の決議)によらなければならないとされています(譲渡制限以外の株式であれば代表取締役が決定することができます)。その後、割当てを受けた者は所定の払込期日(期間)に出資金を払い込むことで株主となります。
なお、新株の発行による増資を行った場合、発行済株式数と資本金の額に変更が生じるため、変更登記の申請が必要です。
新株予約権とは、会社の株式を事前に決められた価格で会社から買い取ることができる権利のことです。買取りの対象は、新株でも、会社がすでに発行している自社株でも構いません。
新株予約権を発行するための手続きとして、特に新株予約権を募集の形で発行しようとする場合には、新株発行の手続きと類似の手続きを経ることになります。つまり、まず募集事項として募集する新株予約権の内容や数、金銭の払込みが必要であるのか、そして払込金額やその算定方法などを決定します。
もっとも、金銭の払込みが必要であると決定しても、募集事項の1つとなる割当日(新株予約権者になるべき日)は、実際に金銭が支払われたかどうかに関係なく、その日をもって新株予約権者となると扱われることに注意が必要です。つまり、新株発行手続きと同様に、申込みを経て割当てが行われますが、割当てが終了した時点で、権利者は確定してしまい、払込みを行わない者については、新株予約権を行使できないにすぎません。
そして、募集新株予約権についても、公開会社と非公開会社とでは扱いが異なります。公開会社では新株予約権を発行する際は、原則として取締役会の決議が必要です。非公開会社は株主総会の特別決議が必要になりますが、株主総会で発行に関する主要な項目を決議すれば、具体的な項目の設定を取締役会に一任することも可能です。
新株予約権の発行に関するルールは株式と同じです。証券に関しては、不発行が原則です。新株予約権の行使は会社への請求と権利行使価格分のお金を払い込むことで完了します。
新株予約権発行の手続きの流れ
新株予約権を株主に割り当てる方法として、新株予約権無償割当(ライツ・イシュー)という方法があります。新株予約権無償割当は、募集新株予約権の発行を無償で株主に割り当てる場合と類似していますが、こちらは、あくまでも株主の申し込みを待って初めて割り当てられるもので、株主に対して当然に割当てが行われる新株予約権無償割当とは異なります。
新株予約権無償割当は、権利行使価値が市場の株価に比べて比較的安い価格に設定されているため、株主による権利行使を期待できるもので、会社の資金調達上、非常に便利な制度といえ、平成26年改正により、さらに使い勝手がよくなりました。
平成26年の改正によって、公開会社の新株発行について、支配株主の異動を伴うような、議決権の過半数となる新株が発行される場合には、株主に対する情報公開が義務付けられると共に、株主総会の承認を得なければならないと定められました。
新株予約権の募集手続きに問題がある場合には、新株発行手続きと同様で、基本的にこれを事前に差し止める措置と、事後的に募集新株予約権発行無効の訴えを提起する方法を用意しています。つまり、新株予約権の発行が法令や定款に違反し、又は不公平な方法であり、かつ、株主が不利益を被るおそれがある場合には、募集新株予約権の発行差止請求権を行使することができます。また、新株予約権の発行について著しい法令違反などがある場合には、新株予約権発行無効の訴え、そして、瑕疵の程度が新株予約権の発行が存在したと認められないような場合には、新株予約権発行不存在確認の訴えを提起できると考えられています。
新株発行の瑕疵と株主の対抗手段の他にも、新株予約権発行をめぐって、払込金額などで不公正な手段を用いた者に対して、民事上の責任を追及する手段が用意されています。このうち、必要な株主総会の特別決議を経ずに、特に有利な払込金額で新株予約権発行等を行った取締役等が会社に対して損害賠償責任を負う点や、現物出資の価値の不足を補てんする責任、そして、不公正な払込金額で新株予約権を行使した者が、公正な価値との差額について支払義務を負うとされている点は、新株発行の場合と同様です。あわせて新株発行について、平成26年の改正により、引受人が仮装払込みを行った場合に、仮装払込みを行った引受人は依然として払込義務を負う旨が定められました。
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